若者と社会をつなぐ接点
福本和生さんら徳島大学の医学生が中心となり、2021年7月から県内の中高生による「ヘルスケア課題解決型教育プログラム」 i-GIP徳島を実施。テーマは「産後ストレスを減らし笑み湧く社会」とし、約3か月間、中高生が大学生のメンバーによる「教育プログラム」を通して課題解決に取り組んだ。中高生はこのプログラムに沿って医師や各種専門家から知識を学び、子育ての現場の意見を集め課題解決のアイデアをグループごとに発表。最後に冊子にまとめクラウドファンディングを利用し関係機関への配布を行った。子育てのリアルな声
福本さんはi-GIP徳島の準備段階から産後うつや、育児不安の解消にテクノロジーやコミュニティーの力を利用したいと考えていた。そして産後うつ経験者や子育て中のお母さん方へのヒアリングを行い子育て中に何が大変だったか、どんなストレスがあったかなど、さまざまな意見を集め解決策を探った。特に注目したのが生まれてすぐの赤ちゃんの泣き声が母親に与えるストレスが大きいこと。その泣き声が母親に不安や、緊張を与えるのではなく、テクノロジーで赤ちゃんとのコミュニケーションのきっかけにしたいと考えた。泣き声が「泡」になる
「産後のお母さんのまわりには、育児情報があふれ、常にこんな時はどうしようと混乱している状態。そこにさらに文字や言葉で情報を与えたくなかった」と福本さんは言う。この時に泡がプクプクと昇って行くイメージが浮かび、その泡が泣き声の理由によって形や色が変わる「あわベビ」の構想が生まれた。「あわベビ」から生まれる可能性
実際に親子が集まるイベントで使ってもらう様子を見学した福本さんは「あわベビを使うことで周りのお母さんとのコミュニケーションがスムーズになったり、泣いた理由によって対処の仕方が話題になったりと、AIによる泣き声の可視化だけではない僕が理想していた使い方に出会うことができた」と言う。家族の居場所
i-GIP徳島、「あわベビ」と次々にヘルスケア課題に挑戦を続ける福本さん。そのきっかけは大学1年次の留学経験から「居場所」というキーワードで幸せを考えるようになったと言う。若者の視点を子育てに
また現在の子育て支援についても「これまでのアナログな子育て支援ではマンパワーに限界がある。子育て支援をDX(デジタルトランスフォーメイション)できるのもデジタル世代の若者の強みであり、これからは子育ての効率化や担い手の多様化は必要なことだ」と若者の視点や子育て支援策の取り組みのアップデートの必要性を提案している。あわベビはこんな方にオススメ
赤ちゃんの泣き声をみてみたい。
これまではずっと聴いていただけだった泣き声に色と形を与えてみませんか?赤ちゃんの泣き声に向き合いたい。
耳だけで理解しようとしていた泣き声を可視化することで赤ちゃんへの向き合い方がわかります。また、周りの人も協力しやすくなります。赤ちゃんと一緒に成長したい。
泣き声を通して、赤ちゃんがなぜ泣いて、それに対してどのように対処していくのか、一緒に考えることができます。泣き声にイライラする自分から卒業したい。
パパママの気持ちを尊重し寄り添うことであわベビはイライラ発散の場になるだけでなく、そもそものイライラを無くす場所になりたいと思っています。