私たちの未来をはぐくもう
2024年4月号
はぐくみ徳島紙面シリーズ 企画制作◎徳島新聞社営業局
パパ&ママの仕事と育児両立支援セミナー【要旨紹介】
夫婦はチーム!パパも子育てを手伝う」から「シェア」へ!
男性社員の育児休業取得率向上に向けた法整備や、働き方の見直しが進む中、共働き世代の仕事と育児の両立支援セミナーを阿波銀行本店営業部3Fコワーキングスペースで3月3日に開催。講師にNPO法人ファザーリング・ジャパンの徳倉康之氏を迎え、夫婦でのチームづくりや職場環境・生活環境・制度の変化に対応できる新・子育て戦略を学びました。
セミナー講師:徳倉 康之
株式会社ファミーリエ 代表取締役社長
NPO法人ファザーリング・ジャパン副代表

企業・自治体・大学・高校・医療機関等での講演、セミナーを中心に活動。現在は内閣府男女共同参画局 計画実行・監視専門調査会委員、厚生労働省イクメンプロジェクト推進委員会委員、子ども家庭庁子ども・子育て支援等分科会委員など務める。

子育ては「生き方・働き方」の
OSアップデートのタイミング

 各年齢のライフステージにおいて、生活環境・職場環境・制度の変化に対応するため、その度に生き方や働き方のOSのアップデートが必要になります。その中でも共働き世代のみなさんが結婚をして、最初の子どもが産まれる時期がアップデートのタイミングです。仕事と育児の両立にはこのときにアップデートができるか、できないかで家族のあり方や、子育て、働き方に大きく影響してきます。

家事分担の割合はいまだに妻が多い

 家事分担の割合ですが、図(上記)のように妻の割合が多く、また、労働時間の調査では夫の方が長時間労働の傾向があります。これらの調査からいまだに性的役割分担が根強く残っていることがわかります。共働きの場合、このままだと妻の育児、家事の負担は大きいままです。
 これをどう変えていかなければならないか。それは夫が定時に帰り、家事全般を行いながら、夫婦でコミュニケーションを取り、育児、家事をしていく。そこで大事なのは男性が定時に帰宅できるかがポイントになります。

仕事は質、家庭には量

 日本人は仕事を量で頑張り、家庭とか家族の時間に質を求めるという傾向があります。しかし、これからの時代は家族で過ごす時間を長くするために仕事の質を上げ、定時に帰ることがこれからの働き方です。
 仕事で成果を出すことと、長時間働くことは同じではありません。会社も定時で成果を出す社員を評価する仕組みをつくらないと、ダラダラと働く社員ばかりの組織になってしまいます。じつは仕事と家庭の両立ができている社員が増えれば生産性も上がり会社にも勢いがつき、家庭も円満になります。

産前産後こそパパの出番

 女性は妊娠、出産のタイミングで体や心に大きな変化が起きます。仕事の制限やマタニティーブルー、そして母親になったという意識が生まれ、妊娠・育児の情報に敏感になります。そして出産、産後には心身の不調や痛みもあります。夫もたとえば育休を取ろうと思ったときに神経質になったりもしますが、それ以外は心身の変化はありません。
 このようにそもそも妊娠、出産で夫と妻にこれだけの差が出てきます。このときから夫がどうかかわっていけば良いか、もちろん妻の状態を理解する、いたわることも大事ですが、妻の心身の負担をやわらげるために一番は家事をすることです。


産後パパ育休の勧め

 これから育休を取ろうと考えている男性のみなさんに、ぜひ、こういう取り方をして欲しい例をお伝えします。今、法律が変わり男性の育休は分割して取れるようになっています。
 最初は産前産後のトラブルが起きやすい時期です。出産で妻が大変なときに自由に時間を使える夫がそばにるだけで随分違います。
 また、マイタウン出産といって、住んでいる地域で出産することで、妻の代わりに役所に届け出を出したり、地域の支援情報を集めたりするなど、地域との繋がりも深まります。
 次に妻の復職や、子どもを保育園やこども園に預けるタイミングです。このときに妻が安心して復職に向けて準備ができるように夫が慣らし保育の送り迎えをするなど、妻の心理的な安心の担保をし、仕事復帰に集中できる環境を整えることができます。

夫婦はチーム!
「手伝う」から「シェアする」へ

 結婚や出産、介護などさまざまなライフステージや価値観の変化で仕事以外に取り組まないと行けない場面が出てきます。そしてさまざまな制約に直面すると、仕事中心の生活が成り立たなくなります。そんなときに夫婦間でのパートナーシップがとても大事になります。
 しかし、現状はいろんな場面で妻からは「夫が子育てを手伝ってくれる」夫からは「家事を手伝っている」というような声をよく聞きます。この「手伝う」を仕事の場面に置き換えると、業務に担当者がいて、その手伝いをするということです。共働きで育児や家事を夫が手伝うといった場合は、やはり妻がメインで夫はそのフォローをするという考えでいいのでしょうか。この考え方、言葉の使い方を変えていく必要があります。これからの時代は二人で働きながら育児や家事をお互いにシェアしながら、チームでライフを充実していかなくてはなりません。

それぞれの家族の
ワーク・ライフ・バランス実現に向けて

 社会の変化に応じた価値観や制度が変わっていくと、いろんな働き方が現れ、複雑になってきます。それをしっかりマネジメントできる企業や組織が生き残っていく時代です。
 また、国では子育てに個人がお金をかけなくてもいいような施策も増えています。特に教育費、医療費の無料化も進んでいます。考え方としては、みんなでお金を出し合って次の世代を育んでいく社会に変わっています。
 仕事と家庭の両立支援で会社や組織の支援があっても、情報をキャッチアップするだけではなく、夫婦で協力しながら、家族の時間に量、仕事では質を高める。これを意識しながら、地域での生活や働き方の夫婦間での答えを出して下さい。
 100点の答えではなく、家族のみんなで合わせた合格点であればそれでいいと思います。心のOS、知識のOSをどんどんバージョンアップしていくことで、結果は仕事と家庭の両立につながって行くはずです。

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